一般的に露地の畑を借りる場合、1反当たりの年間賃料の相場というものがある(相場は市役所の農業振興課などに行けば確認できる)。しかし、「ハウス」(ビニールハウス、温室)の場合は相場がないため、貸主の言い値、もしくは借主から提案をする場合が多い。
注意するべきは、ハウスの被覆がガラスなのか、ビニールなのか、骨材がパイプなのか鉄骨なのか、設備としてカーテン、天窓が動くのか動かないのかなどである。これらを総合的に判断する必要があるので、賃料が安いのか高いのかを判断するのはそう単純ではない。
そして、一番難しいのは契約書である。農業委員会に置いてある利用権設定の契約の場合、露地栽培が基本となっているため、ハウスの賃貸借の契約には不向きだ。新たに契約書を作る必要がある。
借りられるハウスの多くは使われていないので老朽化が進んでおり、そのまま使えるような物件は少ない。そのため修繕が必要なケースがほとんどだ。修繕の費用負担を地主に求めることはほぼ無理であるため、自己負担で行うことになる。辻ファームでもすべての賃貸借のハウスの修繕は自己負担で行われている。
自己負担で修理する場合の注意は、そのハウスを本当に今後その地主が使う意志がないことの確認だ。そのためには先方の家族構成などを確認しておくことも重要だ。最低でも設備投資した減価償却以上の年数の契約を結ばないと、修繕したはいいが、利用権設定の期間が終わると、自動的に契約は終わるので(定期借家契約のようなもの)地主に継続の意志がない場合返却を余儀なくされる。
どんなに満足のいく修繕をしても、自分のものにはならないということは忘れてはならない。常に賃借料を払い続けなくてはならないので、トータルのコストを計算すると新規でハウスを建設した方が安い場合もある。修繕の話はこちら(【コスト削減策】ビニールハウス自動カーテン制御盤の故障をDIY修理)。
農業を始める際には選択することが多くあり、それには常に自己責任が付きまとうことを忘れてはいけない。
【参考リンク】
農地の売買・貸借・相続に関する制度について(農林水産省)