新規就農に絶対に必要な書類、就農計画について伝えなければいけないだろう。
就農計画とは自治体に提出する認定新規就農者になるための必要書類であり、認定新規就農者になると、年齢制限はあるものの、無利子の融資や、農業次世代人材投資資金(旧・青年就農給付金)が受けられるようになる。
就農計画は、5年後に年間250万円の所得を上げる計画を立てる必要がある(10年前は200万円でよかった)。農業の所得とは、収穫量(販売量)×単価が売上で、売上から経費を引いたものになるが、単価、収穫量は県の作物別の経済性指標(『作物別・作型別経済性標準指標一覧 2017年度改訂版』神奈川県農業技術センター刊:県内農協の本所、地域農業改良普及センター、行政センター等にて配布)というデータがあり、それを元に計算することになる。
実際にやってみるとわかることだが、所得年250万円を作るには、元データがとてもしょっぱい数字のため、自分のやりたいことはある程度押し殺して計画を立てないと難しい。少量多品目栽培を思い描いていると、とても複雑な計画になるので、お勧めはしない。
辻ファームの場合はアイメック栽培によるフルーツトマト単作の計画を立てていて、フルーツトマトはそもそも経済性指標にはないものであったため、単価を高く設定できたので、書類自体はそれほど難しいものではなかった。それでも単価、収穫量の根拠になる書類は必要であり、メーカーから取り寄せるなどして対応した。
また、10年前はなかった制度ではあるが、農業次世代人材投資資金制度ができ、新規就農への参入障壁が下がった。しかし、新規就農したものの、給付金(かながわ農業アカデミー等で就農に向けた研修を受ける人に、1人当たり年間150万円を、最長2年間交付等)が出なくなった途端に経営が成り立たないケースも多くあり、計画の継続の妥当性の確認は現在の方が厳しくなっていることだろうと思う。
夢のない話だが、農業をはじめようと思う方は、作物別の県の経済性指標を一度確認してみることをお勧めする。自分の作ってみようと思った作物の単価と収量、それに対する労働時間をみて、それでもやろうと思うのか。それとも、経済性指標にはない価値を自分なら産み出すことができると考えるのであればぜひチャレンジして欲しい。
まだまだ手のつけられていない、やり尽くされていないチャンスがそこには見つかると思う。
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