NHK World「Japan's Top Invention」からの取材
NHK Worldに「Japan's Top Invention」という番組があり、そこで辻ファームの採用しているImec栽培が取り上げられ、フィルム栽培の発明の歴史と現在の農業への展開が紹介された(「Film Farming - Japan's Top Inventions」NHK WORLD-Japan on YouTube)。
その番組内でほんの少し(笑)だが、辻ファームのビニールハウスの風景が紹介されている。NHK WORLDの公式サイトでは見られなくなってしまっていたが、YouTubeに再収録されていたので、Imec栽培に関心のある方、またフィルム栽培がどんな利点があり、どんな方法で実践されているのか知りたい方にご紹介させて頂こうと思う。
アイメック栽培技術とフルーツトマト栽培の相性
アイメック栽培とは、Imec®︎というハイドロゲル膜を用いた薄いフィルムの上で植物を育て、フィルムにはナノサイズの水分と養分だけを透過させ、細菌やウイルスからの汚染を防ぎながらフィルムの下に根を張らせ、その上に作物が育てられるという画期的な栽培方法のことを指す。この技術は早稲田大学理工学術院の元客員教授を務め、医療技術の開発に携わってきた森有一氏(博士、工学)が開発し、1995年に事業化した世界初の技術のことだ(参考:アイメック栽培技術を普及販売しているメビオール社サイト)。
アイメック栽培とフルーツトマトの相性がいいのは、水分を極限まで減らすことによって作物自体の糖度や含まれるリコピンや旨味成分として知られるアミノ酸、不安抑制に関わる神経伝達物質の一つでもあるGABAを増加させるという植物自体の性質に由来する。また、森博士によれば、この技術は狭いスペースで利用でき、農業用水の使用量を減らし、栄養価の高い作物が採れるため、世界の農業と自給率の向上に貢献できるとその成果をアピールしている。
その森博士はあのTED(日本語版)にも出演しており、お人柄とImec®︎フィルム栽培への熱意が伝わってくるので、ぜひアイメック栽培、辻ファームの出自に関心を持った方にはご覧頂きたいと思う。
辻ファーム設立・新規就農、事業化に至った経緯
辻ファームが設立され新規就農・事業化に至ったのは、会社員として散水設備の営業と施工を担当しており、懇意にしていた種屋さんからの紹介でメビオール社の試験農場の工事を請けたという経緯があり、それで人と人との縁や時々のタイミングが今の辻ファームの継続に結びついている。過去に「【新規就農】アイメック栽培との出会いと辻ファームの設立」という記事を書いたが、こちらもよろしければご一読頂きたい。
このアイメック栽培を辻ファームでは10年の間研究と実験を重ねながら続け、糖度と色艶、歯応え・食感を追求した「Coiina(コイイナ)フルティカトマト(2021年収穫分)」をオンラインストアで販売しています。ご興味のある方がいらっしゃれば、一度この病みつきのフルーツトマトをご賞味頂ければ、アイメック栽培農家冥利に尽きます。
【参考リンク】
・メビオール社「imec®︎アイメックフィルム農法」公式ページ
・森有一博士 Researcher's Map 研究者紹介