野菜の相場が安い(豊洲市場の主な取扱品目の相場:日々更新)。netアグリ指標によると、1月29日の相場も1kg当たり13円の下落だそう。この影響を受け、農家にとっての死活問題にここ数年直面している。
コロナなどの社会情勢の影響もあり、燃料、資材や食料など、コモディティのあらゆるものの価格が高騰しているが、農産物だけはその限りではない。農作物だけは供給過剰で値崩れが起きているのだ。
農作物の相場は基本、需要と供給のバランスによるものが大きい。辻ファームはフルーツトマトをメインとして作り続けてきたが、近年トマトを栽培する新規参入も増えてきており、需要と供給のバランスが崩れることも珍しくない。つまり野菜相場安はいつでも起きうる環境にある。
そこで辻ファームが新たにチャレンジしているのはイチゴだ。市場の動向によってトマトが供給過多に陥る冬春のトマトを作付を減らし、イチゴ切り替える試験をした。
全国的に、しかも多くの時期においてイチゴは供給過多となっている場合が多いわけではない。作物の特性あるいは輸送の構造的な話がそこにはあって、イチゴが供給過多になりにくいのは、完熟収穫では輸送に耐えられないからだと思う。市場流通では、消費者が手にとるのは完熟を迎える前の収穫から最低でも3日経ったものであり、地元の完熟収穫との価格上・取り扱いでの差別化がなされている。
初めてのイチゴ作り。特に何の勉強もせず、とりあえず植えてみることからイチゴ作りは始まった。離農するハウスを解体してもらってきたパイプで高設ベンチを作った。
イチゴのベンチは通常のイチゴ栽培で採用されることの多い高設栽培よりも低く設定している。大人には低いが子供にはちょうど良い高さにした。高さが低い理由は子供イチゴ狩りを想定したからではなく、イチゴの後作でトマトを植えるためで、トマトに合わせた高さにしている。
昨年のクリスマス、念願の自作イチゴでクリスマスケーキを作ることができた。トマトには全く見向きもしない子供が喜ぶ顔がうれしいが、複雑な気分だ。
辻ファームオンラインショップにイチゴが出品されていたら、フルーツトマトと併せてぜひご賞味頂きたいと思う。
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