辻ファーム串橋農場はいくつかある農場のうちのメインだ。しかし、この農場のビニールハウスには大きな弱点がある。
それは、大雨が降るとビニールハウスが「水没」してしまうということ。ビニールハウスが立っている場所がほぼ周囲の田んぼの高さと変わらないため、大雨が降るとビニールハウス内にどんどん雨水が侵入してくる。
この農家にとっては笑えない惨事によって、水に浸かった部分のトマトが全滅してしまうこともあった。最近では、栽培ベッドを高く設置することで水没は回避しているが、それ以前から湿気が原因となるトマトの病気に悩まされている。事件を回避しても元から持っている悩みは尽きなかった。
しかし、この悩みを経験し乗り越えたからこそ、農業技術は向上していく。土地由来の病原菌の対策のために苗をすべて接木にしたり、病気予防の微生物資材(トリコデルマ菌で萎凋病の原因となる菌の繁殖を抑制するなど)を試したりといった試行錯誤が農家を成長させるのだ。
新規就農者の方で、いきなりビニールハウスの建設から農業を始めようとする人がいる。その土地のことを知らずに建て始めるのはかなりのギャンブルといえる。家の新築でもそうだが、その土地に住んでみなければわからないことは実はたくさんあるのだ。
自分が生きるために関わる農地は、まずそこにビニールハウスを建てる前に、どのような土地特性なのかがわかるまで試用してみることをおすすめする。それからでも農業を始めるのに決して遅くはないのだから。
メイン農場の弱い特性の話をして、「それでも串橋農場は回っている。」といえるようになった辻ファームは、技術を身につけざるを得なかった農家なのだ。
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