辻ファームでは、ビニールハウス栽培の植え替え時期の8月にフルーツトマトを収穫するために、露地栽培もしている。
露地栽培は大地を使っての栽培となるが、トマトを栽培していて調子が悪いときによくあるのが、「ネコブセンチュウ」による害である。
ネコブセンチュウが根に寄生すると、次第にトマトに元気がなくなってくる。水があるのに萎れたり、花が着果せず落ちてしまったり、一見なにが原因かわからないのだ。
こういう時、抜いて根っこをみると一目瞭然だ。写真のように根にコブができている。こうなってしまった根は栄養や水分を次第に吸収できなくなっていく。
ネコブセンチュウの対策をするために、一般的に農家は土壌消毒をしたり、殺菌剤を散布したりすることが多い。しかし、薬は根本的な解決にはならない。この感覚は農業の経験に基づく答えである。
困ったことが起きたときには相談する。このようなとき農家同士の横のつながり、縦のつながりが活かされる。信頼できる資材業者との付き合いも非常に大切だと思う。
タイトルにあった通り、結果的に一切の薬剤を使わず、特殊な堆肥によってネコブセンチュウによる害は解消された。とはいえ、センチュウ捕食菌や土壌微生物相のバランスなど、結果に至ったいくつかの要因はあるだろうが、謎が多い。
農業界で特に露地栽培、つまり土での栽培はブラックボックスな部分が多い。ブラックボックスであるが故に怪しい微生物資材も多いが、何回も騙され、試作を続けると次第に本当に必要なものが見えてくる。
一歩一歩真理に近づいていくところが農業の楽しさだと思う。
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