Coiina[コイイナ]フルーツトマトに込めた思いは3つある。①味の濃さ、②栄養価の濃さ、③生産者の想いの濃さである。
そもそもトマトに名前をつけようと思ったのは、フルーツトマト業界は新規就農時にはすでに群雄割拠の時代で、デパートのトマト売り場を訪れればありとあらゆるフルーツトマトが売られていた状況にあったため、何か差別化を図る必要があると感じたのだ。
つまり「◯◯農園のフルーツトマト」というだけでは、商品の特徴や込められた想いが伝わらないと思い、ブランド名や商品名を付けようと考えたのだ。
フルーツトマトというだけあり、そこは甘さを競う世界であったため、「甘さ」を連想させる名前が多かったように思う。その時代一番有名だったのは、アメーラトマトだった(アメーラは静岡の方言・静岡弁の「甘えらー」(甘いでしょー)からアメーラと名付けられたそう)。
私は当時たくさんの品種を試験栽培していて、トマトの美味しさは甘さだけではないと思っていたこと、甘さを競うという同じ土俵に立ちたくないという気持ちが強くあり、アイメック栽培から生産できるトマトの一番の特徴である「濃縮感」を表現したいと考えた。
ブランド名・商品名が必要だったかどうかは今となってはわからない。「辻トマト」でも良かったのかもしれないが、地元の直売所などでは、出荷する作物に商品名までつけている農家は今でも見かけないところからも一種の差別化にはなったように思う。
しかし、悩みの種としては、アイメック栽培の端境期である8月から10月までの間、違う栽培方法で栽培したトマトがCoiina[コイイナ]フルーツトマトといってよいのかどうかだ。ちょっとウスイナ(苦笑)というわけにはいかないので、辻ファームで作る他の野菜やアイメック栽培以外で栽培するトマトに貼るための新たなシールを製作中である。そこにいままで言葉にできていなかった辻ファームのコンセプトも表現したいと思っている。
最後に、結局お蔵入りになってしまったがとても気に入っているシールの案を紹介したい。ただ作りたいだけで農業を始めてしまった当時の私の顔はこんな顔をしていたと思うから。
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