11月20日放送のTBS報道特集より取材を受け、原油高騰で農家がどのように困っているか、どのような対策をしているかをリアルに語った。ビニールハウス施設栽培で冬を越すには加温が必要であり、原油高は重油価格の高騰だけに留まらず、資材や肥料の価格にも影響する。重油価格は1Lあたり約65円だった去年から、2021年10月では80円まで高騰している。
農業資材、特に費用がかかるのはビニールハウスのビニールだが、その価格は年々上昇しており、農業をはじめた10年前からすると施工費を含めると体感的には1.5倍くらい上がったように思う。
販売についても、直売所で取り扱ったりスーパーなどへ直売(委託販売)することにより、ある程度自分で値段を決められるようになったが、フルーツトマトをはじめとした市場の価格相場による影響や、切りのいい価格設定を求められるため、数%値上げをして価格に転嫁するというわけには簡単にはいかない。
このような状況のなかで如何に農業経営をやりくりするか。苦しいのは農家も消費者もみんな同じであり、努力と工夫が試されると思う。そこで辻ファームが取り組んだのが、生産コストを切り詰めるために稲作農家の方から分けて頂いた籾殻を燃料として使う、モミガライト作戦である。これは過去の記事「【石油価格高騰中】籾殻の燃料化プロジェクト始動【未利用資源活用】」で取り上げたが、未利用の資源である籾殻をモミガライトという燃料に変え、それを燃やしてビニールハウス内の加温に使用するというものだ。
籾殻を燃やすというのは、植物が光合成をして二酸化炭素を吸収して、そこから生まれたものを再度燃やすという流れを考えると、結果として二酸化炭素をゼロサムとして用い、世界的に問題となっている二酸化炭素の排出量(温室効果ガス、GHG emittion)を下げ、現状維持するという意味でも環境に悪い影響を及ぼさない。これからは環境にも配慮し、農業の価値向上に努めていきたい。
今回の取材に答えた内容としては、農家が石油価格の高騰によって受けている影響を語るものでシリアスなものではあったが、日頃からの想いをこのような形で聞いてもらえて報道に乗せてもらえるのは嬉しい。
フルーツトマト農家として取材を受けた経緯から、辻ファームで採れたフルティカをキャスターの皆川さんに試食して頂くこともできた。
農業をはじめて継続しているとサラリーマンでは絶対に会うことができなかった方に出会える。これも農業経営の生み出す一つの価値ではないか。